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2020.12.15

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趣味の文具箱2021年1月号 vol.56(12月15日発売)は「美軸!」特集

趣味の文具箱2021年1月号 vol.56(12月15日発売)は「美軸!」特集

理屈抜きに楽しい!「美軸」特集

自分流の暇つぶしのひとつが「辞書」。同じ言葉を違った辞書で調べて、比較して楽しんでいる。分厚い紙の辞書を並べて、めくって眺めるのも楽しいけれど、最近の高性能な電子辞書は50冊分くらいが収まっているので、これ1台持っていればどこでも暇つぶしができる。
紙でも電子でも、両方持って、よく見ているのが三省堂の「新明解」。この辞書は楽しい。最近、9年ぶりの全面改定版が出たことも話題になっている。試しに新明解で「恋」を調べてみると……「特定の相手に深い愛情をいだき、その存在が身近に感じられるときは、他のすべてを犠牲にしても惜しくないほどの満足感・充足感に酔って心が高揚する一方、破局を恐れての不安と焦燥に駆られる心的状態」(第七版)とある。う~ん、深い。これを書いた編集担当者は、どんな恋をしてきたんだろ。ちなみに広辞苑の「恋」は、新明解に比べると、かなりあっさりしている。担当編集は、きっと身もだえするような恋とは無縁だったんだろうな。
新明解が言う「特定の相手」は、人間だけとも限らない。魅力的な新しい万年筆、システム手帳などが目の前に突然現れると、心の高揚と、手に入れたい欲望、そして手に入らないかもという不安と焦燥が一気に押し寄せてくる。

12月15日発売の趣味の文具箱1月号の特集は「美軸!」。理屈抜きに美しい、華麗、かわいい軸を一気に集めている。年末年始は、美軸を眺めて、恋に落ち、沼に溺れ、身もだえしてください。

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趣味の文具箱1月号は「美軸」特集。美しい軸のペンが全員集合!する。理屈ぬきに美しいペンを集めているのだけれど、雑誌に載せるからには理屈が必要だ。でも、これがなかなか難しい。
美人が大好きだけど、北川景子と綾瀬はるかのどっちが、どれくらい美しいかを的確に説明することはかなり難しい(よく行く家電量販店の、テレビ売り場と腕時計売り場の両方でこの2人の巨大なポスターが並んでいて、美の火花を散らしている)。
ペン軸における「美」とはなんなのか。いつもの通り、まずは美の意味を辞書で調べてみた。「形、色彩が整っていてきれいである」「うつくしいこと」とあり、まったく腑に落ちない。
普通の辞書はあきらめて、日本大百科全書の「美」の項目を開いてみたら、凄かった。冒頭から「一義的に定義することは難しい」とあきらめているのだ。さらに「ウィットゲンシュタインのいうように、語られえざることには沈黙しなければならない、のだとしたら、美そのものについては一行も書くことが許されないだろう」と100年前の哲学者の言葉を持ち出し、仕事を放り投げ、しまいには「美しいものとの出合いにおいて戦慄し、眩惑され、蠱惑(こわく)されているばかりということになる」と美の定義から完全逃避している。ここまで開き直ってくると面白い。

では、歴代の詩人は「美」をどう語っているのか。
リルケ「恐ろしきものの始め」
ボードレール「巨大な、恐ろしげな純真な怪物」
ホフマンスタール「言語に絶する何ものか」

皆さん、恐れおののいています。
そして、美を語ることにおいてまともに仕事をしない日本大百科全書は、これらの詩人の言葉を引用しながら、「概念によって定義しようとし始めるや否や、われわれは途方もない混乱に巻き込まれることになる」と締めくくっている。

自分の故郷の秋の一大イベント「会津まつり」には、綾瀬はるかさんが毎年ゲストで参加してくれている(今年の大変な時期にも参加してくれた。感謝)。ある年の祭りで、至近距離5メートルくらいから尊顔を拝する機会があった。自分の隣にいた地元の中学2年生くらいの坊主頭の男子は「あっ…、あんな顔見たことね」と独り言のようにつぶやいた。心の底から反射的に出た言葉だろう。この時、彼は二歩くらい後退りしていたと思う。現実すぎる美に対面し、その瞳には眩惑と戦慄の感情が確かに浮かんでいた。
美とは恐ろしいものであることを、美軸特集を組んであらためて気が付いた。1月号では理屈抜きの美軸を編集部総出で集めて、おそれながら美を語ることに挑戦しています。誌面を開くと美軸がばんばん飛び出してきます。お楽しみに。

この記事は2020年11月27日、12月4日に配信した「【趣味の文具箱】Mail Magazine」の内容を、一部転載・変更して構成しています。各種情報は変更している場合があります。

 

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清水 茂樹(しみず しげき)

清水 茂樹(しみず しげき)

1965年、福島県会津若松市生まれ。2004年より文具情報誌「趣味の文具箱」編集長。「ステーショナリーマガジン」「ノート&ダイアリースタイルブック」も手掛ける。ソリッドな黒軸、ネイビーブルー色のインク、風合いが育つ革、手のひらサイズが大好き。

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