筆記用紙の特性を表わす用語集
平滑度‥‥単位:秒
紙面の滑らかさ(凹凸)の度合い。一定量の空気が紙面を通り抜ける時間(秒数)で表す。紙は細かい繊維が複雑に絡み合っているものだが、その平らさ、滑らかさを示す。表面処理や加圧処理の程度により変化し、緊度が高いほど平滑度は高い傾向にある。
密度‥‥単位:g/立方センチメートル
紙のしまり具合を示し「緊度」ともいわれる。坪量(g/平方メートル)/紙厚(μm)で算出する。数値が高いほど緻密な紙、数値が低いほどフワッとした嵩高(かさだか)の紙であることを示す。パルプ原料の叩解処理の度合いに左右され、平滑性や不透明度、強度などの品質特性に影響する要素。
厚さ‥‥単位:μm
紙1枚の厚さ。1000分の1mmで表す。2枚の平らな板の間に1枚を挟み、一定圧下で測定する。密度が高いほど紙は薄くなる。
坪量(米坪)‥‥単位:g/平方メートル
紙の重さ。一般的な紙の取引に使われる1平方メートル(1m×1m=1㎡)あたりの重量(g)。数字が大きいことは厚い、重い、コシが強い紙であることを示す。
連量‥‥単位:kg
規格のサイズに仕上げた紙1000枚あたりの重さ。おもに紙の商取引で用いられる。
表面強度‥‥単位:A
紙がむけることに抵抗する度合い。毛羽立ちなどの耐性を示す。
サイズ度‥‥単位:秒
水溶液のにじみ具合い。水の浸透抵抗度を示す。低いほどインクがにじみやすいが、高すぎるとインクの定着が遅く、紙面を汚す原因になる。サイズ度を上げるためにサイズ剤を配合する。サイズ剤は筆記用インクなどの液体の浸透に対する抵抗性を高め、耐水性を付けるための薬品。用途に合わせてにじみ具合を制御できる。原料に混ぜる内添サイズ剤と、表面に塗工する外添サイズ剤がある。
不透明度‥‥単位:%
紙が透けない度合い。紙裏に白・黒の標準板を使い、緑色フィルター透過光を当てたときの反射光量を比で表す。内填料(クレー、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタンなど)の添加や表面加工によって工夫している。両面筆記や両面印刷をする薄紙で特に重視される。
灰分‥‥単位:%
紙を燃やしたあとの灰の量のこと。不透明性を上げるために、紙の中に抄き込まれた無機物質の量を示す。少なすぎると不透明度が低くなり、多すぎるとコシのない紙になる。
白色度‥‥単位:%
紙の白さの度合い。標準白色板(酸化マグネシウム)に青色フィルター透過光を当てたときの反射光量を比で表す。上質紙の白色度は80~88%が主流。
表裏差‥‥単位:-
紙の製造工程でワイヤー(金網)に接する「裏」は、「表」に比べて平滑度が低い。「表」は微細繊維や填料、サイズ剤が多く残るため水性インクの適性が良い。近年ではワイヤーを2枚使用する抄紙方法により表裏差を少なくしたり、強サイズ剤処理により表裏差を改善している紙もある。
参考文献:『洋紙と用紙』(金児 宰著・光陽出版社)/『紙とパルプの科学』(山内龍男著・京都大学学術出版会)