ボールペンの基礎
1943年ハンガリー人によって考案されたボールペンは、実用重視の現場で出番が多い筆記具。ペン先のボールが回転してインクを紙上に転写する構造で、紙質を選ばないのが特長。線幅や濃淡がほぼ一定、書きグセに関わらず安定した線になるという長所がある一方、ある程度の筆圧が必要なものもあり、線が無表情になるという短所もある。
構造
ボールペンチップ(ペン先)は下図のような構造をしている。特にボールと受座(ホルダー)の精度はペンの性能を決定付け、インクとの相性によって書き味に大きく影響する。ボールの真球度は1万分の3ミリ以下。磨耗しにくくインク乗りが良い超硬ボールやセラミックスなどが使われ、機械式腕時計なみの精度で組み込まれている。
筆記角度は60~90°が理想的
あまり寝かせて書くと、ボールを保持している「かしめ部」が紙面に当たり、線がかすれたり、磨耗してボールが飛び出す原因となる。
ボール径と線幅
ボールペンの線の太さは「ボール径(ボールの直径)」で表示されていることが多く、一般的な筆跡幅(線幅)ではない。ボールペンはインクの種類(粘度や転写量)によって、筆記角度、筆圧、紙質などによって線幅がさまざまに変化するからだ。下表のように、線の太さの区分はインクの種類によってわずかに差がある。
ペン先(チップ)の種類
ボールペンのペン先は大きく2種類ある。一般的なコーンチップは円錐型で高筆圧にも耐える安定感がある。ニードルチップは1999年に日本の筆記具メーカー「オート」が開発したもので、その名の通り「針」のように細いチップ。コーンチップに比べて筆記線が見やすく、細かい字を書くのに適している。
インクの種類と特徴
ボールペンやマーキングペンのインクは、溶剤、色素(色材、発色材)、定着剤(樹脂、湿潤剤)などでできている。特に溶剤と色素の組み合わせで特徴が異なるので、用途に合わせて選ぼう。ゲルは静止状態では寒天状、かき混ぜると液体化するインク。なめらかに書けて筆記線がにじみにくい。
油性顔料:ガラスや金属にもしっかり書けるマーカーなど。
油性染料:耐水性、耐光性に優れ、紙以外の素材にも書ける。
水性顔料:筆記後、乾燥すると耐水性が高まる。鮮やかな発色も特長。
水性染料:サインペンのようにさらさらと書けるが、にじみやすい。