コンバーターとカートリッジ ~両用式万年筆を上手に活用しよう~
現在では両用式の万年筆が主流になっている。両用式では、首軸にコンバーター、またはカートリッジインクを挿して使う。この2つの特徴を一覧して、上手に使い分けてみよう。
両用式で使う「コンバーター」
コンバーターは、カートリッジインクの代わりに差し替えできるインク吸入器。首軸にコンバーターを挿した状態にして吸入式と同じ方式でインクを入れる。
□ボトルインクが使える
カートリッジインクの代わりにコンバーターを挿すと吸入式と同じようにボトルインクが使える。(自己責任となるが)他社製のボトルインクも使えるので、使えるインク色のバリエーションが一気に増える。ただし、吸入式に比べると一般的に入れられる容量は少ない。
□純正品を使うのが基本
コンバーターの形状は、各メーカーごとに違っている。純正品を使うのが基本だ。ヨーロッパ標準のカートリッジインクを使う万年筆では、対応するコンバーターの形状もほぼ同じことが多いが、原則として純正のコンバーターを使おう。
□吸入機構のトラブルは交換で解消する
吸入式の万年筆は内部に吸入機構がある。ピストンや可動するネジの機構などが劣化したり不調になると修理しなければならない。両用式のコンバーターの場合は、可動部が不調になったらコンバーターを新しく交換するだけで吸入機構は新品状態にできる。
□インク切れにはカートリッジインクでも補充できる
コンバーターがあれば、ランニングコストが安いボトルインクを常用できる。さらに両用式では、ボトルインクと同じ色のカートリッジインクを予備で持っていれば、出先でインクが切れてもコンバーターを抜いて、すぐに予備のカートリッジで補充できる。
□ペン先や内部の洗浄がしやすい
両用式の場合、クリーニングの基本はペン先と首軸を水に入れておくこと。インクが抜けるのを待つのが基本だが、コンバーターを使って水の出し入れを繰り返すと短時間で効率良くクリーニングができる。
インク交換が超簡単!「カートリッジインク」
小さな筒状のカートリッジにインクを封入した、交換が
簡単な小型インク。1950年代にセーラー万年筆が特許
を取得し、その後急速に普及した。両用式またはカート
リッジ式の万年筆で使う。
□インク交換が簡単で早い
カートリッジインクの最大の特徴はインクがなくなったときの補充がとてもスムーズでスピーディなこと。インク切れになったら空のカートリッジを抜いて、新しいカートリッジを挿すだけ。旅先や外出先で万年筆を活用するユーザーにはとても便利なシステムだ。
□純正品を使うのが基本
カートリッジインクは、各社ごとに独自の規格で作られている。だから万年筆と同じメーカーの純正品を使うのが基本だ。ボトルインクに比べると色のバリエーションは少ない。ただし「ヨーローパ標準」仕様の万年筆であれば、自己責任で多彩な色を選べる。
□予備インクを携帯しやすい
ボトルインクを予備として気軽に携帯するのはなかなか難しい。カートリッジインクは小型で軽量、インクは密封してあるので予備を携帯しやすい。複数のメーカーの万年筆を持ち歩いていても予備は数本で済む。旅先で使う万年筆にはカートリッジ式が便利だ。
□ボトルに比べるとコスト高
カートリッジインク1本の容量は一般的に約0.6~0.8㏄。小分けして製造しているのでボトルインクに比べると割高だ。1㏄当たりの単価を概算してみるとセーラー万年筆ではボトルの約2.3倍、モンブランでは約3.5倍。一般的にはボトルに対して約3倍くらいの単価となる。
□ヨーロッパ標準では互換できる
ヨーロッパ標準(またはヨーロッパタイプ)と呼ばれるカートリッジインクは、メーカーが違ってもほぼ同じ形状をしており、(ユーザーの自己責任で)他のメーカーを使うことができる。主にヨーロッパの複数のブランドが採用している。