凄腕のガラスペン職人との出会い。
川西洋之さんと初めてお会いしたのは、大阪の筆記具イベントの会場だった。凄いガラスペンを作る職人が出てきた、という噂はすでに耳にしていた。1000度を超える炎と真剣に対峙する老練で無口な職人をイメージしていた。
「はじめまして」と目の前に表れた川西さんは、70年代のヒッピーのような雰囲気だった(後のインタビューで20代の川西さんは、南米、東南アジアなどの奥地をずっと旅していたこともわかった)。
「まだ技術は完璧ではなくて、もっといいものを目指している途上なんです~」とあの笑顔で手渡されたガラスペン矢絣は、見たこともないような羽根の模様が軸に入った美しい佇まいをしていた。そしてペン先がでかい! さらに溝の迫力が凄い。聞くと、限り無く深い溝を緻密に12本入れているという。
先端は紙やすりを使って丹念に仕上げているという。10倍ルーペで見ると12本の深い溝が先端に向かって、きっちち同じ角度、同じ深さで集約されている。さらに紙面に接触する先端は絶妙の角度で丸く研がれている。
どこから眺めてみても「書いてみたい」と思わせる魅力に満ちていた。そしてインクをつけ、紙面を走らせてみると、ガラスペンの概念を超えるスムーズな感触、そしてガラスならではの硬質で斬新な書き味が指に響いてきた。そしてインクがなかなか切れない。聞くと500字くらいは書けるという。
21世紀型のガラスペン現る! こんな見出しが頭に浮かんだ。「ぜひ工房で作っている現場を見せてください!」とお願いした。
川西さんの技、想い、物語はぜひ「趣味の文具箱38号」の特集をご覧ください!
川西硝子×趣味の文具箱 オリジナルガラスペン 「矢絣」「十二」
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清水 茂樹(しみず しげき)
1965年、福島県会津若松市生まれ。2004年より文具情報誌「趣味の文具箱」編集長。「ステーショナリーマガジン」「ノート&ダイアリースタイルブック」も手掛ける。ソリッドな黒軸、ネイビーブルー色のインク、風合いが育つ革、手のひらサイズが大好き。