「文房具のプレゼント」の思い出
春は文房具の季節。
思い返すといまから40年!のこと。中学校に入学したときに、10歳年上のいとこのお姉さんから2本挿しのペンケースをプレゼントされた記憶があります。
サイズはとても小さく、パイロットのエリートがぴったり収まるくらい。黒革でファスナーは金色でした。それは当時使っている文房具の中で、飛び抜けて高級感があり、とても大人っぽい存在でした。
かなり嬉しいプレゼントであり、同時に
「文房具って素敵だなぁ」
「文房具って大人っぽいなぁ」
とそれまでの鉛筆と消しゴムの世界から、一気に新しい世界に連れ出してくれた存在でもありました。
しかし、このペンケースにふさわしいペンはまったく見当たらず、その後、高校、大学…と進学するにつれて、それなりの筆記具を使い出しても結局このペンケースは本格稼働するに至らず。でも必ず机の引き出しの最も目立つところに常駐させて宝物のように大事にしていました。
引き出しを開けるたびに、「いつか、このケースにふさわしいペンを揃えて、大人の道へずんずん進んでいくぞ」といった志を支える存在だったような気がします。
筆記具や文房具は、ずっと使えて、ときには知的な活動を支え、そして古くならない。知人や友人、息子や娘、ときには孫までにも受け継がれていくこともある。使い捨てが前提のモノが増えている現代だからこそ、文房具には新しい価値が生まれているような気がします。
趣味の文具箱41号の特集は「文具を贈る」。プレゼントとしての文房具の選び方、楽しみ方を掘り下げてご紹介しています。お楽しみに。
この記事は2017年2月24日に配信されたメールマガジンの内容を一部を転載して構成されています。各種情報は変更されている場合があります。
↓↓↓編集長コラムをはじめ最新の情報をいちはやくお届け!メルマガ購読はページ下部の「メールマガジン購読」からどうぞ!↓↓↓
清水 茂樹(しみず しげき)
1965年、福島県会津若松市生まれ。2004年より文具情報誌「趣味の文具箱」編集長。「ステーショナリーマガジン」「ノート&ダイアリースタイルブック」も手掛ける。ソリッドな黒軸、ネイビーブルー色のインク、風合いが育つ革、手のひらサイズが大好き。