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2017.04.04

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小日向日記│万年筆のインク切れを回避するために行うこと

小日向日記│万年筆のインク切れを回避するために行うこと

日々慌ただしいなか、ちょっと万年筆で何か書きたいと思って喫茶店にすべり込むと、どの万年筆で書こうかなと考えながら、そうそうインクはどのくらい残っていたかしらと思って軸を回し開けてみた時、たいてい上の写真くらいの少量しかインクがなかったりするものです。

これは焦る!!

替えのカートリッジが手元にあれば良いものの、例えば上のデルタ ビンテージ2本の左のほうはウォーターマンのミステリアスブルーにしていて、予備のカートリッジを机に置いてきてしまうこともしばしばです。右のほうにはペリカン エーデルシュタインのジェードを入れていますが、こちらのカートリッジ製品はロングタイプしかなく、写真のショートタイプは左のウォーターマンを使い切ったらカートリッジ容器を洗い、ボトルインクのジェードをシリンジで注入しています。よって出先でインクがなくなったら家に帰るまで使わず我慢するしかありません。

こんな時のために毎朝インク残量チェックは欠かさないようにしたいものですが、なかなかそうもいかないですよね。

こうして無念にも出先で万年筆のインク切れを迎えると、あれこれ対策を練るようになります。今回はその話をいたしましょう。

定番インクと気分転換インク

過去に小日向は万年筆1本ごとに異なるインクを入れて、それら数本を(というかわいいものではないくらい多い数本を)ペンケースに入れるという「インクの色数基準で持ち運ぶ万年筆の本数を決める」使い方をしていましたが、この方式では使う万年筆に偏りが出ることに気づきました。万年筆に、というよりインクに偏りが出ると言うべきか。ブルーブラックインクを選ぶ頻度がとても多いのです。結果ブルーブラックを入れた万年筆ばかり使うことに。

じゃブルーブラックだけ使っていればと思っても、雨のしとしと降る日には爽やかなターコイズを使いたい時もあれば、透明度の高い氷越しに滴るウイスキーを横に翡翠色のインクを走らせてみたい時もあります。それらは、気分をリフレッシュさせるための色ということです。

ならばいくつかのインク色を同列に考えず、定番インクをブルーブラックとしてそちらはペン先の字幅別にいくつか揃え、そこへ季節や場面に合わせた気分転換インクを入れた万年筆が漂っている…という認識に変えればすっきりいくのではないかと考えました。

それまではブルーブラックのインク切れ頻度が高いなか、他のインクはちょっと気を抜いているとインク切れがやってくるという流れでした。こっちがインクない! あっちもインクない! となってインク補充を繰り返し、ああしんど…という日々でしたが、頭の中で定番インクと気分転換インクに分けてからは、ブルーブラックのインク補充を一気に行う時、気分転換インクもほどよく減っているようなリズムへと次第に整ってきました。

d20170403-01_1

写真はプラチナ万年筆 #3776センチュリーのペン軸+コンバーターを軸から外して並べた光景です。これらが最近の鞄に入っているセンチュリーのラインナップで、すべてに同じブルーブラックを入れています。

同じプラチナ万年筆に同じインクを入れる理由は、どれかがインク切れになった時にコンバーターを差し替えてしのぐためです。

上の写真を見ると、中央の1本(字幅:ロジウムB)がほとんどインク切れですよね。その上(字幅:ロジウムM)もほとんどなくなっていて、一番上(字幅:ピンクゴールドF)も減ってきています。下の2本(字幅:字幅ゴールドM・ロジウム細軟)はまだ大丈夫。これの中央をこのあとしばらく使いたい…という時には、使わないものの中からインクの入っているコンバーターを抜き、中央のほうと差し替えます。これは心強い。いつインク切れを迎えても「じゃこっちのを使うわ」と余裕綽々。

にしても同じインクばかり入れていて飽きないのか? と思われるかも知れませんが、字幅を変えるとインクの色みも変化しますから、むしろ多彩な印象です。細字にも濃淡があるんだな、太字は濃ゆいのに透明感もあるな…と同じインクの様々な表情を感じ取れて、その奥深さを実感します。

定番インクにしているブルーブラックは、これまでウォーターマン→パーカー→パイロットと変遷しました。現在はパイロットで落ち着いています。ブルーブラック消費量に伴って、求めやすい価格のものに変わっているような…パイロットのブルーブラックは、国内たいていの文具店にあり、30ml入りでハンディな小瓶もあり、出先ですべてのコンバーターがインク切れになっても気軽に買い足すことのできる点も有利です。

インクを新鮮に使い切りたい

インク切れが起こらないまでも、しばし万年筆を使わなかったばかりにインクタンク~キャップ内でインクが蒸発し、濃縮されてしまうこともあります。書けばインクは出るけれども、なんだか濃く玉虫色に光っていて、描線が一向に乾く気配なしという濃縮化インクを味わったことのある人も多いのではないでしょうか。これはインク切れ以上に厄介と言えます。

だってインクがそこにあるのに書けないなんて! つらすぎる。

そこで少しでも蒸発を食い止めるために、コンバーターに入れたインクは、減ってきたらネジを回して上げ底にし、インクタンク内の空間をなくしておきます。

d20170403-01_2

上はインクタンク内の空間がある状態、下はコンバーターのネジを回し上げ底にして空間をなくした状態です。

カートリッジにインクが入っている場合や、軸そのものがインクタンクになっている注入式ではこれができないので、濃縮化したら早々に諦めて新たなインクに入れ替えることにします。

たとえばパイロットの万年筆ならコンバーターにも軸に合わせたサイズがいくつかあり、挿す部分の形状は同じですから、「このインクは使いたい場面があってもなかなか減らないし、あえてタンク容量の少ないCON-40にする」という使い方があってもいいですよね。

また旅行中のようなインク補充をなるべく避けたい期間には、インクの持ちを良くするためにつとめて細字を使います。

これはかなり効きます。太字のインクの減りのなんと速いことか。転じて、常に新鮮なインクをどんどん流していきたい場合には太字を選ぶ方法もあります。

もっとも旅行中といえば…新たなボトルインクが増えてしまうものだったりしますが!

万年筆は、好きなインクを入れられて、インクがなくなればまた補充し、違う色にしたければいつでも洗って変えられるフレキシブルな筆記具です。

インク切れの痛恨を出先で迎えることを避けつつ、日々を彩りながら過ごしましょう!

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小日向 京(こひなた きょう)

小日向 京(こひなた きょう)

「趣味の文具箱」ライター。日常生活における手書きと文具の有効活用を日々研究し続けている。著書「考える鉛筆」(アスペクト)。

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