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2017.02.02

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「インクカタログ」作りという冒険

「インクカタログ」作りという冒険

エベレストには複数の登頂ルートがあります。ノーマルルートと呼ばれる南東稜は成功率が高い。だから頂上を確実に目ざすのならノーマルルートを選べばいい。にもかかわらず、北稜ルートをあえて選んで昇る登山家もいる。テントを張るのも難しい急斜面が多く、雪崩や落石の危険も高い。でも難しい北稜ルートを多くの登山家が成功すると、今度はボンベなしの無酸素で挑む冒険野郎が登場して…

と、大きな例え話となってしまいますが、「趣味の文具箱」で恒例となった「インクカタログ」の歴史はさながら冒険を企画する登山家のようなものでした。「なにを大げさな」と言われるでしょう。インクカタログという頂上(完成)を目指す道に命を脅かすような危険はありません。でも「北稜ルートを無酸素で」と冒険家が思いつくのと同じように「次号はダイアミンを全部」と企画会議で口走ってみたら最後、1か月くらいの制作期間で100色以上のインクを集め、手書きでインクの色サンプルを作り、写真撮影をしてレイアウトを組み直して、印刷所から色校正を出してもらい、実際の色と比べて修正して(これを、新しく追加したインク全部と前回掲載したインクの再確認なども行いつつ)…と、担当者とその周辺は体力と勝負しながらカタログ作りという冒険の日々に突入することになるのです。

最近のインクは彩度が高い、つまり鮮やかで発色のよいものが増えている印象があります。印刷とは3つの原色(実際はこれに黒が加わる)を合わせて実際のイメージをそれらしく擬似的に見せる技術です。蛍光っぽい色などは忠実に再現することはできません。しかし印刷の技術によりそれらしい色に近付けることはできる。いかに原色に近付けるか。これが色校正という最後のアタックとなります。そして、いま趣味の文具箱40号のインクカタログの最後の色校正の真っ最中なのです。

趣味の文具箱のインクカタログの歴史は創刊号から始まりました。第1号を発刊した2004年頃は、いまのようなインクの種類はそれほど多くありませんでした。それでも主要な万年筆ブランドが揃えている純正インクを集めてみたら全部で120色もありました。そして黒、青、赤、紫…など色別に各社を並べてみると微妙ながらすべての色に違いがあることがわかりました。だったら、もれなく集めて誌面に並べてみよう、ということで始まりました。その後「世の中にあるブルーインクを可能な限り集めてみる」「インクブランドを全網羅してみる」「色を分解・分析してチャートに散りばめる」…など、様々な登頂ルートを考え、そして形にしてきました。

12月1日(木)発売の40号で掲載する綴じ込み付録インクカタログに掲載しているインクの数は550に迫る勢いとなりました。この号では、さらにもうひとつの綴じ込み企画を入れています。似た色を探すのに便利な「色相で見るインクの色分布」。そして裏面は人気のブルーインクを集めた「ブルー系インクの彩度と明度の分布」です。

インクから広がる万年筆の楽しい世界を少しでも多くの人に感じて欲しい。こう願う「趣味の文具箱」編集部の地道ながらも結構命がけの冒険は、これからも続いていきます。インクがひたすら並ぶクールなチャート図から編集部のホットな思いを感じていただければ幸いです。ぜひ本屋さんで本を開き、そして付録を横に伸ばして見てください。

この記事は2016年11月21日に配信された「【趣味の文具箱】Mail Magazine」の内容を一部を転載して構成されています。価格等の情報は変更されている場合があります

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清水 茂樹(しみず しげき)

清水 茂樹(しみず しげき)

1965年、福島県会津若松市生まれ。2004年より文具情報誌「趣味の文具箱」編集長。「ステーショナリーマガジン」「ノート&ダイアリースタイルブック」も手掛ける。ソリッドな黒軸、ネイビーブルー色のインク、風合いが育つ革、手のひらサイズが大好き。

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