小日向日記│趣味の文具箱 vol.40「文具歳時記」記事の話
2016年12月1日に発売された、趣味の文具箱 vol.40はインク特集。
年4回刊行の趣味文のうち、年末12月刊の号はインク特集が毎年の恒例となっています。
このインク特集号は年を重ねるごとに人気が増大しており、「ご当地インク」などの限定インクが年々増えていることもあいまって、vol.40も大いに話題となりました。
そんななか、vol.40に小日向も記事を書いています。
えっお気づきにならなかった。あっ見てはいたけどインク特集のほうに夢中だった。わかります、わかります。
vol.40の小日向記事は目次を参照していただくといくつか御確認いただけますが、そのなかからp.118~121の「文具歳時記」について、記事ではスペースの都合上割愛したり書かなかったりした話を今回綴りたく思います。
vol.40を傍らに出していただき、御覧いただけますと幸いです。
p.118-121「文具歳時記」冬、気持ち改まる年末年始を彩る
vol.37から4号にわたって連載した文具歳時記は、各号3か月ずつの二十四節気と七十二候・それらの時季に合った文具使いを提案し、一年ひとまわりを経たvol.40で終了となりました。
その最後の回が、今号です。順を追ってまいります。
p.118
12月にしたいこと1 翌年の手帳を決める
特に手帳好きの人たちは早くも夏の終わりから取り組んでいる、翌年の手帳選び。「12月にしたいこと」というよりは、「12月にまだやってること」かも知れません。いや、1月もまだやっているかもしれない…?!
◆モレスキン デイリーダイアリー Pocketのマラカイトグリーンは美色。モレスキンでは定番の黒表紙の他に赤が加わったあと、表紙色は現在6色に増えています。このデイリーダイアリーは束の厚さが魅力で、以前にも1項目1ページのノート記入に使っていました。日付を合い番号とし、冒頭の年間表を目次にします。
◆能率手帳ゴールドは、見開き1週間の枠を「7つの箇条書き枠」として、仕事のアイデアなどを書くために現在も重宝しています。こちらも年間表を目次代わりに。
こう書くと「なんでスケジュール手帳に使わないの」と思われるかたもおいででしょう。スケジュール手帳は他にあって、何冊も同時使用すると収拾がつかなくなり、しかしこれらも愛らしくて仕方なく、どうにか使いたい…と願ったすえの苦肉の策なのでした。
しかしこの方法がてきめんに良くて、毎年の手帳フェア時期には「テーマ書きノートに向く手帳はないか…」と売場を練り歩いているのが例年のことです。
p.119
12月にしたいこと2 クリスマスカードや年賀状を書く
◆「謹賀新年」と書いたはがきは、榛原の「越前和紙はがき」です。こちらには裏面に郵便番号欄が印刷されているものと、両面無地のものとがあり、万年筆でも印象的な筆跡を描いてくれる和紙です。こうした作例の撮影には、書き損じた時のために裏面も使える両面無地を用意しています。
左のクリスマスカードはスマイソンのカードで、表面にワンポイントの絵柄があるものの裏側を使いました。
◆「謹賀新年」のはがきに捺した上部のスタンプ・松島清光堂の篆刻風年賀印 TN-06は、干支の漢字が様々な書体で寄せ集めになっているもの。これが大変な魅力で、以前お店のかたに「素敵!」と言ったら「毎年出しているんですよ。十二支全部コンプリートなさるかたもいらっしゃいます」との話で、こりゃわしも即集めにゃならんなと参戦。現在「未」「申」「酉」と揃い3年目。あと9年あってコンプリートしたらいったい何歳になってるんだよ…と恐ろしいものの、集めるったら集める。というものです。
◆クリスマスカードのところで用いた、パイロット カスタム742の10号スタブは「横細・縦太」な線を描いてくれるペン先です。これが意外に引き締まった細めの描線で、スタブ=太字という印象が払拭され、ふだん使いのノート記述にも十分使えるのでは? と感じました。ペンケースに1本しのばせておきたいスタブです。
12月にしたいこと3 文具の大掃除をする
◆みがきクロスは銀磨き用がポピュラーですが、プラスチックみがきクロスで磨いたレジンの美しい仕上がりといったら! これにはハマってしまうこと間違いなしです。
◆もうひとつハマるものが、その左のミドリ・ミニクリーナー。これは可愛くてたまらない!
キャプション文中では『せっせと掃除する様子が愛らしい。』などと平然を装っているものの、実際は動かしながら「せっせ。せっせ!」とミニクリーナーに話しかけていたりするくらいの可愛がりようなのでした。そして機能性も抜群です。「俺の愛車はミニクリーナーだぜ」状態。
…なんだかずいぶん話が長くなっていますが、以下さらに続けます。
p.120
1月にしたいこと1 新年の過ごし方を書き残しておく
◆この手帳に年末年始の出来事を記しておく習慣は他にも応用できて、例えば何かの行事での持ち物や時間経過、旅行での持ち物や服装・今後用意したいもの一覧、修理のプロセスなどの記録にも役立ちます。あとからまた同じことをするさいに、とても助けになるからです。よって大変だったことや面倒だったことほど、書いておくとあとで気楽になれます。
1月にしたいこと2 文具にも正月飾り
◆これらアイテム撮影のさいには、大きなテーブルにすべてを並べて順次ブツ撮りを進めるのですが、カメラマンの北郷仁さんにこの水引付きの箸袋+万年筆をお渡しした時、「…どういう話なんですかこれ?」と目点になっておいででした。でしょうよね…。
たとえば「今年活躍してもらう万年筆」を1本定めて、このような正月飾りを施したりするのも気分新たになるものです。
1月にしたいこと3 縁起柄を身につける
◆着物や風呂敷、漆食器などの和ものアイテムには、様々な縁起柄を取り入れてあります。
ふだん目にするものの絵柄から御利益をいただこうという考え方は、験担ぎのひとつとして絶好の機会です。「鶴亀よ、唐草よ。運気のほうは任せた。私は仕事に向かう!」と集中できそうです。
p.121
2月にしたいこと1 節分アイテムで邪気を払う
◆節分柄の手ぬぐいにある、枡にセットしたマスキングテープは、1本の紐で結んであります。
長めの紐を二重にする→マステに通す→片側を結ぶ分とっておき、側面で十字にぐるりと巻く→結ぶ→端をマステで枡の壁面に留める、という大雑把な結びかたです。
◆ナガサワ文具センターのキップレザー ロールペンケース10本差しは、それが恵方巻に似ているのではなく、「恵方巻がナガサワ10本差しに似ている」と思う次第。
2月にしたいこと2 梅模様に鶯色を散りばめる
◆梅模様が旬の時季は意外と短いもので、2月の節分行事が終わって立春を迎える頃には梅の開花を急かすように使いたくなり、またその梅模様に鶯色を合わせることで梅も早く咲きたがるのでは…と感じたりします。
とはいえ梅は、桜や紅葉ほどタイミング勝負の植物ではなく、通年あらゆるアイテムで目にする絵柄でもあります。鶯と組合わせれば、男性にも粋。梅柄文具をちょっと見直してみるきっかけとなれば幸いです。
この一年、「文具歳時記」記事を通じて季節に親しむ文具使いをあれこれ試し、「文具は四季の移り変わりや年中行事に常々寄り添っているのだな」と実感しました。
このテーマについては、今後よりいっそう関心を深めていきたいと思います!