わけもなく大好きなインクは元祖ご当地インク?だった
(この記事は2016年9月からスタートした「【趣味の文具箱】Mail Magazine」の内容を一部を転載して構成されています)
好きなものが沢山あることはシアワセなことですよね。 でも、なぜそれが好きか?とあらためて聞かれると、答えに困るものです。 なぜヤクルトスワローズを応援するの? なぜ福井の越前ガニじゃだめで但馬の香住ガニを食べたいの? なぜ同じ太さなのに149じゃなくてドルチェビータなの?…などなど。 脳の中で好きを感じるのは五感を司る扁桃体だそうです。海馬の付け根あたりにあって、脳の言葉を操る部分と場所が離れているので、好きな理由を言葉で表すのことはそもそも難しい、といったことを本で読んだことがあります。言葉で表現できる好きの程度はそれなりで、好きの度合いが大きいほど自分にも誰かにも説明するのは難しくなるのは間違いないようです。 さて、本題のインクの話。自分がずっと好きで使っているインクはプライベートリザーブの「レイクプラシッドブルー」です。ブルーインクの種類は沢山ありますが、なぜかこのインクに惹かれます。取扱店が少なくなってきているので、見つけたらまとめ買いしていますが、いま最後のひと瓶になってしまいました。
なぜこのインクのブルーが好きなのか。10秒くらい真剣に考えてみましたが、答えは出てきません。色は濃く、文字は見やすく、かつ紙面にのったときの華やかさが色に感じられます。 「レイクプラシッド」という地名は1980年の冬のオリンピックの開催地として記憶に残っています。試しにGoogle Earthでアメリカ・ニューヨーク州のプラシッド湖に行ってみたら、風光明媚な心地よさそうな小さな湖が広がっていました。そして湖面の色はまさにあのインクの色。濃厚かつ鮮やか、そして深みのあるブルーでした。編集部のPCの画面を眺めながら「これぞご当地インク」とつぶやいてしまいました。
いま(※2016年10月28日配信のメルマガの内容です)、編集部では「趣味の文具箱」40号を作っています。この号では、インク選びの貴重な資料となる「インクチャート」を綴じ込み付録とする予定です。色相を計ってチャート(図面)にインク色の似たもの同士を配置しているので、好きな色が見つかったら、それに近いインクがどれかすぐにわかる便利なチャートです。前回のインクチャートでレイクプラシッドブルーを探したら、チャートのかなり端っこにありました。色相で見てもかなり個性的な色なのかもしれません。カランダッシュのアイデリックブルー、色彩雫の朝顔が近くにあります。どちらもよく使うインクですが、やっぱりレイクプラシッドブルーとは違います。 40号のチャートでは最新インクを盛り込む予定です。これを眺めながら、新しいブルーインク探しを楽しみたいと思っています。
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清水 茂樹(しみず しげき)
1965年、福島県会津若松市生まれ。2004年より文具情報誌「趣味の文具箱」編集長。「ステーショナリーマガジン」「ノート&ダイアリースタイルブック」も手掛ける。ソリッドな黒軸、ネイビーブルー色のインク、風合いが育つ革、手のひらサイズが大好き。